2月に購入した本の感想を書きます。
あくまでも個人の感想文です。
今回はこの2冊。
古墳入門 幻冬社
|総評
古墳入門というタイトルながらもかなり深いところまで解説されており、他の古墳本とは一線を画す仕上がり
マンガや図が豊富でとにかく分かりやすい。
古墳に興味がある、これからコフにストになりたい人はもちろんのこと、もうコフニストですよという人も楽しめる
|構成
序章:レンタサイクルで巡る5大古墳群
カラー写真で百舌鳥、西都原、埼玉、保渡田、明日香の古墳群を紹介。
1)古墳にまつわる素朴な疑問
2)知って驚く古墳の中身
3)古墳で読み解く古代日本のヒミツ
4)日本全国古墳巡りの旅
1)古墳にまつわる素朴な疑問
古墳の形、古墳の向き、天皇陵と普通の古墳の違い、古墳の形は色々あるが順位はあるのか、何故前方後円墳が作られたのか、など古墳にまつわるあるある疑問に付いて見開き1Pづつで解説。
図も入って分かりやすい解説。
2)知って驚く古墳の中身
大抵の古墳カジュアル本は前方後円墳についてさくっと説明するくらいで終わるところを、この本では前方後円墳とは、前方後方墳とは、円墳・方墳・八角墳その他の古墳の形や作られた背景などに付いて1個づつ詳細解説。
石室の内部、石棺の種類、副葬品の種類の変遷についても1Pづつ使い詳細解説。
とにかく他の本より細かい。深い。
漫画も交え分かりやすい。
3)古墳で読み解く古代日本のヒミツ
巨大古墳が築造された時代の背景を弥生時代からさかのぼり解説。
「魏志倭人伝」「宋書」を引用し、入門書としては突っ込んだ解説。
大和政権だけでなく関東や吉備地方の古墳の成り立ちまで短いながら抑えるところは抑えてある。
4)日本全国古墳巡りの旅
古墳の知識をみにつけたら、実際の古墳を見てみよう、ということで全国の古墳を紹介。
ここまではよくある。
ページをめくるといきなり北海道の江別古墳群の写真がどーーん。
「入門」でいきなり北海道って、、。確かに古墳は関西にしか無いと思っている人が多い。
歴史好きでも北海道に古墳があることを意外と知らない人は多い。
渋い。渋い選択。
好きです。
|感想
■漫画付きで読みやすい
■入門といいつつかなり細かいところまで解説している
■最新の研究情報も載せている
■章の間に邪馬台国論争や天皇陵論争が短く掲載されていて読み応えあり。
■古墳についてのざっくりとした情報と、後はメジャー古墳を写真紹介といった近年よく見かける古墳本とは一線を画す内容。
ただ、「入門」としては細かく解説しているので、入門の方にはついていけないかもしれないのが唯一の懸念事項。
古墳の地図帳 辰巳出版
|総評
酒でも飲みながら眺めるのが良い
古墳めぐりに持っていける実用的なものではない
|構成
序章:古墳ギャラリーとして大谷・定古墳や野田院古墳のカラー写真を掲載。既出版の古墳本が百舌鳥や明日香の超有名古墳を載せているのに対し、ちょっとマイナーな形が面白い古墳を掲載している所に、差別化を図ろうとしているのが見て取れる。古墳の基本をカラーで解説。形や埴輪について、時代背景を要点をまとめて。ここは最近出版されている他の古墳本と変わらない情報量。
本文:北海道から沖縄までの古墳。北海道の江別古墳群は分かりますが縄文時代のカリンバ遺跡が掲載されていた。確かに北海道の古墳でコーナーを作るのは寂しくなってしまうから有名所の縄文のお墓も入れておこう、という気持ちは分からなくは無い。しかし、古墳の築造された時代が前期・中期・後期で色分けされていたのが、「前期」になっていて、いやいや、縄文時代なのに古墳時代前期でくくる?と思う。そして沖縄??1501年に築かれた玉陵(たまぐすく)が掲載されていました。その名の通り「古い墓」を紹介したようで。 おまけでしょうけどそこは「墳丘墓」くくりでは無いのか・・・。
|感想
■掲載されているのはメジャー級古墳のみ
■1枠が小さいので詳細な情報は載っていない
■番地が省略されているのが残念
詳細な地図もないのでこれを元に古墳を巡るのは厳しい。古墳巡りで大変なのは所在地が分からず辿りつけないこと。
市町村のHPを見ても番地は書いていない場合が多い。
掲載されているのは有名古墳なので、場所がわからないというのはレアケースかも知れないが、せっかくの地図帳なので番地は載せて欲しかった。
■「JR全線、主要私鉄の路線図も掲載」と表紙に書いてあるが、古墳は駅から遠い場合が多い。最寄り駅を調べて、「え、最寄り駅から10km!?」ということも多々ある。バスやレンタサイクル、車で回る人も多いだろう。得意気に表紙に載せるほどの情報かは疑問。
個人的には路線図よりレンタサイクル所を掲載してくれたほうが有難い。
■自分の住んでいる地域以外にはどんな古墳があるのかな、と知りたい人には良い