「古墳好きなの?あの教科書に載ってるやつでしょ?」
古墳好きでなくとも日本人なら誰でも知っている「あの教科書に載っているやつ」。其れこそが昔仁徳天皇陵として教科書に載っていた前方後円墳。しかし実際に目にしたことのある人は少数派だと思います。
今回は仁徳天皇陵、改め大仙古墳の楽しみ方をご紹介します。
名称・別名:百舌鳥耳原中陵/大仙古墳(だいせんこふん)/ 大山古墳(だいせんこふん)/大仙陵古墳(だいせんりょうこふん)/大山陵古墳(だいせんりょうこふん)
英語名: Daisen
Mausoleum/Daisen tomb
場所:大阪府堺市堺区大山町
墳形:前方後円墳
製造時期:5世紀
大きさ:墳長486m、前方部幅307m,前方部高さ34m、後円部径249m、後円部高さ35.8m
三段築成、三重濠
埋葬施設: 竪穴式石室、318cm幅167㎝の巨大な長持型石棺(全堺詳誌)
埋葬品:ガラス椀と皿、甲冑、円筒埴輪、形象埴輪など-大きさ
百舌鳥古墳群の中の主墳。世界三大墳墓の一つ
世界三大墳墓って?
その名のとおり世界で大きい墳墓3つのことです。
1.クフ王のピラミッド(エジプト)
エジプト・クフ王のピラミッド |
出典:https://ja.wikipedia.org
2.秦の始皇帝陵(中国)
秦の始皇帝陵 |
体積300万立方メートルで体積で世界一とされている。
出典:https://ja.wikipedia.org
3.大仙古墳(日本・大阪)
全長486メートルで面積で世界一とされている。世界遺産には登録されていない。
記事訂正: 2019年7月6日ユネスコ世界遺産に登録。これにより世界三大墳墓はすべて世界遺産に登録された。
世界三大墳墓を比較
出典:http://www.city.sakai.lg.jp |
高さ1位はエジプトのプラミッド
体積1位は中国の秦・始皇帝陵
面積1位は日本の大仙古墳
大仙古墳は誰のお墓なのか
大仙陵古墳の謎の一つに被葬者・埋葬者はだれかということがある。
宮内庁治定:仁徳天皇陵 日本の第16代天皇。善政を敷き、大規模な土木事業を行ったと伝わる。
宮内庁治定について
『古事記』では、オオサザキ(仁徳天皇)は83歳で崩御したといい、毛受之耳原(もずのみみはら)に陵墓があるとされる。『日本書紀』には、仁徳天皇は87年(399年)正月に崩御し、同年10月に百舌鳥野陵(もずののみささぎ)に葬られたとある。
『記紀』『延喜式』などの記述では、仁徳天皇(16代)、履中天皇(17代)、反正天皇(18代)の三天皇は百舌鳥の地に墓が築造されたとある。
しかし、それぞれの3陵として現在宮内庁が治定している古墳は、考古学的には履中天皇陵(上石津ミサンザイ古墳)→仁徳天皇陵(大仙陵古墳)→反正天皇陵(田出井山古墳)の順で築造されたとされており、年代が合わない。このことから、百舌鳥の巨大古墳の中で最も古く位置づけられる伝履中天皇陵(上石津ミサンザイ古墳)を伝仁徳天皇陵にあてる見解もある。
平安時代の『延喜式』には、仁徳天皇の陵(みささぎ)は「百舌鳥耳原中陵」という名前で和泉国大鳥郡にあり、「兆域東西八町。南北八町。陵戸五烟。」と記述されている。なお、「兆域東西八町。南北八町。」という敷地が他の陵墓と比較すると群を抜いて広大であることから、ここに記される「百舌鳥耳原中陵」が大仙古墳を指している野ではないかとされている。「中陵」というのは、この古墳の北と南にも大古墳があるからで、北側は反正陵、南側は履中陵であると記されている。
内部や副葬品はどうなっているの
埋葬施設や石棺は
江戸中期の1757年(宝暦7年)に書かれた「全堺詳志」には長さ318cm幅167㎝の巨大な長持型石棺があったとされている。前方部正面の二段目の斜面からも竪穴式石室が見つかっている。1872年(明治5年)大嵐により、前方部斜面の崩壊した。埋葬施設が露出したことを受けて、堺県令税所(さいしょ)篤等による緊急発掘が行われた。
この記録は関東大震災により大半が焼失したため発掘の過程や程度などの細部をうかがい知ることはできない。残された絵図面によれば、その埋葬施設は長持形石棺を納めた竪穴式石槨で、東西に長さ3.6~3.9メートル、南北に幅2.4メートル。周りの壁は丸石(河原石)を積み上げ、その上を3枚の天上石で覆っているとされている。
復元された石棺 |
副葬品について
明治時代の発掘調査によればガラス椀と皿、甲冑、円筒埴輪、形象埴輪などが出土した。
大仙古墳出土品レプリカ |
ボストン美術館との関係
アメリカにあるボストン美術館は大仙古墳から出土したとされる副葬品5点を所蔵している。
獣帯鏡、環頭大刀の金箔張り柄頭、三環鈴(馬具)、馬鐸2点
入手経路は当時美術館に勤務していた岡倉天心が1906年京都か奈良で一括購入したとされている。天心の購入リストも発見されているが、天心は5点について「古代の墓で出土した青銅製品」としており、古墳からの出土品とは云っていない。
2011年に宮内庁は渡米し調査を行ったが、 形状から6世紀前半(獣帯鏡は5世紀後半~6世紀前半)の作品と判定。大仙古墳の築かれた5世紀半ばと年代が合わないと結論付けた。
盗掘・発掘は?
前述の通り葉調査がされたのは江戸と明治とされている。
墳墓の規模から考えて、副葬品が甲冑やガラス椀だけとういう寂しいもののはずはないので、もっと早い時代に盗掘されていたと考えるのが普通だろう。
明治の緊急発掘調査以降、天皇陵に指定されているため、発掘どころが立ち入り調査もされていない。
マッカーサー元帥との関係は?
巷のうわさで第二次世界大戦終了後、アメリカから来日したマッカーサー元帥が大仙古墳を見て、あまりの大きさに驚き、また王の墓だということで大仙古墳の発掘を命じた。そして出土した鏡や太刀など大量の発掘品をアメリカへ持ち帰ったといううわさがある。しかし前述の通り、5世紀には盗掘されておりほぼ何の収穫もなかったとみられている。この「マッカーサーが発掘を命じた」ということをネットでは書かれているものの根拠が見つからなかったので、命じたかどうかも謎。
お濠で釣りをしていいのか
堀は進入禁止となっているため釣りはできない。
2001年ごろから堀にすむ外来種のブラックバスやブルーギルを狙って侵入する釣り人が絶えず、平成17年には釣り人が堀に落ち死亡する事故も起こっている。お濠で釣りをすると大王の怒りに触れるかもしれないので気を付けましょう(笑)
世界遺産への登録は?
世界三大墳墓のうち、世界遺産に登録されていないのは大仙古墳のみである。
その為か、知名度が圧倒的に低い。
日本人ですら正式名称を知らない人が多く「教科書に載っているアレ」と表現するのを鑑みれば世界的知名度など無くて当たり前である。
大阪府は大仙古墳を主墳とし、形成されている百舌鳥・古市古墳群を世界遺産にと活動を進めてきた。しかし、被葬者が分からないことや発掘調査ができないことなどから推薦すらしてもらえない状態が続いた。
2018年に国からの推薦を取り付け、世界遺産への一歩目を踏み出した。
順調にいけば平成31年度に世界遺産に登録される。
※記事訂正: 2019年7月6日世界遺産に登録
大仙古墳を楽しむ
全体像を見るには?
※2019年5月18日に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関イコモスによる勧告でほぼ世界遺産登録が確実になった百舌鳥・古市古墳群。世界遺産を目当てに訪日外国人も増えることが予想されてますます注目度があがるだろう。
しかし、一度でも大仙古墳の前にたったことのある人はわかるはず。
その、全貌の見えなさが。
このままでは実際に行ってみたらがっかりだった世界遺産にランクインしてしまう。。。
地上から見るにはあまりにも巨大な大仙古墳。下から見てもただの山にしか見えず前方後円墳感がない。教科書通りの景色が見たいのならばやはり上から見るのが一番だろう。
しかし、一度でも大仙古墳の前にたったことのある人はわかるはず。
その、全貌の見えなさが。
このままでは実際に行ってみたらがっかりだった世界遺産にランクインしてしまう。。。
地上から見るにはあまりにも巨大な大仙古墳。下から見てもただの山にしか見えず前方後円墳感がない。教科書通りの景色が見たいのならばやはり上から見るのが一番だろう。
堺市役所21階展望ロビー
大仙古墳の全景を見ることのできる展望台、それは堺市役所21階展望ロビー。
地上80mから360度の展望が楽しめる回廊式ロビー。
大仙古墳のほか、遠く六甲山、あべのハルカス、生駒・金剛山が見渡せる。
しかも無料とあって、登るのに損はない
所在地:堺市堺区南瓦町3-1
アクセス:南海高野線「堺東駅」下車 徒歩約5分
料金:無料
営業時間:9:00~21:00
定休日など :年中無休
駐車場
■地下駐車場(本館 地下2階:45台、高層館 地下1階:22台)
開場時間:8:30~21:00。年中無休。
料金体系:30分ごとに200円。※休日のみ、開場時間内、最大料金500円。
堺市役所21階展望ロビー
やはり真上から古墳を見てみたい!という方にお勧めはセスナツアー。大阪では何社か古墳遊覧ツアーを催行している。
コース:古市古墳群、百舌鳥古墳群
料金:大人 12,600円 小人8,800円
遊覧時間:21分
発着:八尾空港
申込み・予約は1ヶ月前から
大阪航空さんではありませんが自分でも飛んできたのでご参考まで。イメージとしては軽自動車に乗って空を飛ぶ感じです。
堺市博物館で予備知識をつける
大仙古墳拝所の向い側は大仙公園になっています。園内には博物館や倍塚が保存されています。堺市博物館は歴史、美術、考古、民俗などの資料を展示、堺の歴史と文化を一目瞭然に理解できます。古代から近代までの歴史の流れを紹介、企画展・特別展は毎回違ったテーマの展示が楽しめます。
所在地:堺市堺区百舌鳥夕雲町2丁(大仙公園内)
アクセス:JR阪和線「百舌鳥駅」下車
料金
一般200円、高校・大学生100円、小・中学生50円
※特別展の別途料金がかかる場合有り
営業時間 :9:30~17:15(入場は16:30まで)
定休日など :月曜日(祝休日の場合は開館)、祝休日の翌日(翌日が土・日曜日の場合は開館)、年末年始
近隣のぐるめ、お土産は?
花茶碗の古墳カレー
各地に古墳カレーはありますが、筆者が知る限り、花茶碗さんが元祖です。
所在地:大阪府堺市堺区百舌鳥夕雲町2-265古墳カレー
陽気なおかみさんが経営しておりお話しすると古墳に関する地元情報などいろいろ教えてくれます。
ロアールの御陵パン
所在地:大阪府堺市北区百舌鳥本町1-2
定休日:祝日・毎週木曜日
カフェ・イロハの前方後円墳キャンディー、古墳サブレ
ランチやコーヒーが頂けるほかグッズの販売コーナーもあり土産物を購入できる。
古墳の幕寝具テープなど購入可能。新商品開発に熱心で日々、古墳〇〇が発売されている。
所在地:大阪府堺市堺区百舌鳥夕雲町2-160 大仙公園
営業時間:8:00~18:00
定休日:月曜日
大仙古墳へのアクセスや駐車場は?
電車の場合:阪和線「百舌鳥駅」「三国ヶ丘駅」から徒歩5分
南海高野線「南海三国ヶ丘駅」から徒歩5分
車の場合:大仙陵古墳の周辺は公園になっているので駐車場が何カ所か存在します。
大仙公園仁徳御陵駐車場
場所:堺区百舌鳥夕雲町2丁151番
オープン:1月1日~12月31日・午前8時~午後8時
収容台数:大型・マイクロバス:18台 普通乗用車等:105台 計:123台
大仙公園緑の駐車場
場所:堺区旭ヶ丘北町5丁256番
オープン:1月1日~12月31日・午前8時~午後6時
収容台数:普通乗用車等 127台
大仙公園西駐車場
場所:堺区大仙中町132-1
オープン: 1月4日~12月28日・午前8時~午後6時
収容台数:普通乗用車等 61台
大仙公園上野芝地区駐車場
場所:西区上野芝町1丁地内
オープン:1月1日~12月31日・午前8時~午後6時
収容台数:普通自動車など 149台